日日是好日 森下典子
生きにくい時代を生きる時、真っ暗闇の中で自信を失った時、お茶は教えてくれる。
「長い目で、今を生きろ」と。
「道」を究めるというけれど、終点はない。
「自分は何も知らない」ということを知る。
カール・ロジャーズ
「行動科学における現行の前提諸条件について」 1968年論文から
知るということについて、また、真の科学者の本質については科学論の学者ではなく、一人のバレエ振付師が最もよく記述しております。
アグネス・デ・ミルは、知識の獲得について次のように述べております。
どうすれば良いか分かった瞬間に、人は少し死に始めるのです。
生きるということは、確かではない、次に何が起こるか分からない、どうすれば良いか分からない、という姿なのです。
そして芸術家は、誰にもまして、分かるということが全くないのです。
芸術家は推測をするかもしれませんが、それは間違っているかもしれません。
しかしそれでは、誰と仲良くし、そのことで言えば、誰と結婚したら良いのか、そんなことが誰にわかるというのでしょうか。
手や脚だけで人生を渡ることはできないのです。
人間は、暗闇の中で飛躍するのです。
だから創造の技術というものは、基本的に自分自身を認めること、自分自身と「仲良くなる」(befriending)ことに帰するのです。
「私は何なのか?」( Who am I ?)と芸術家は問いかけ、それに答えることにその生涯を捧げるのです。