臨機応答・変問自在 森博嗣

助教授VS理系大学生

 

私が初めて、先生ってすごいなと思ったのは、中学校の英語の教師であった。

 

印象的だった授業がある。初めての授業だったかもしれない。

 

「みんな、マリリン・モンローは知ってるよな?」。

 

中学1年生は、照れながらも、声をそろえて「はーい!」。

 

アメリカに行って、マリリン・モンローって言っても、通じないんだよ」

 

生徒たち、心の中で、((「えーっ!じゃあ、なんて言うの??」))

 

「まりもろー」 

 

活字では、もちろん、うまく表現できないが、衝撃的であった。

 

 彼は、教科書をほとんど使わず、でも、英語力は不思議とついていた。

 

そんな、当時としては、ちょっと型破りな先生は、優しい指導者でもあった。

 

とある日曜日に、友人と札幌まででかけ、帰りの汽車に乗る時(国鉄の当時は本数も少なかったため、どの列車も満員であった)、列に並ばずに、横入りしようとした。

 

その時、すぐ後ろから、くだんの先生がお子さんを腕に抱えながら、「お兄さんたち、ちゃんと並ばないといけないよね」と優しくたしなめられた。

 

その時の恥ずかしさと言ったら、今でも顔が赤くなる。

 

名前を呼んで、𠮟責してもよい場面と、そんな時代の中で、そういうふうに接してくださったんだなあと、今更ながら、感じる。

 

列にきちんと並び、ずるはしないで、どんなに疲れていても、お年寄りや身体の不自由な方に、積極的に席を譲る少年になったことは、言うまでもない。

 

 

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