負けない力 橋本治
だいぶん前から、考えていることだが、高校や大学は入学試験をなくし、その代わりに、非常に厳しい卒業試験を課すというのはいかがでしょう。
卒業試験は、塾で教えることができない、自分以外の人の助けは借りられない、数年をかけた人間力を試すものにする。
高校、大学、会社に入るための勉強ではなく、「知性」を身につけるための勉強で、学ぶということ、学問をするということを厳しいけど、楽しめる環境を作ろう。
高校、大学はいつでも始めることができ、いつでも卒業することができる、そんな世の中にしていきたい。
例えば、私は今の世の中で、「知性がある」と「頭がいい」と「勉強ができる」の3つを同じものだと思ってる人は、多いだろうな、ということを知っています。
現在の社会は、みんながちょっとばかり偉そうになって、「自分はもう頭がいいから、これ以上の知性なんかいらない」と思うようになった社会です。
「負けない力」とは、戦うときは戦うけど、決して勝とうとしないこと。
勝つということは、負ける誰かがいたり、負ける何かがある、ということだから、決して平和な状態ではなく、つらい状態がエンドレスで続いていくのだろう。
最近は、コロナに勝つということが頻りにいわれるけど、「勝つ」というところに、違和感を覚える。
「コロナに負けない!」でいこう。