葉隠入門 三島由紀夫
「武士道といふは、死ぬ事と見付けたり」
あまりに、有名な言葉だが、字面だけでとらえていた。
矛盾するように感じるところ、ハウツーみたいに思えるところも、おもしろい。
興味関心が二方面に向くのが悪いのである。 ひたすら武士道に励むことだけで、ほかの事を求めてはいけない。 要するに、<道>の字は同じことなのである。
ではあるが、儒学や仏法を知った上で見た時、武士道などというのは、道理にかなったものなどとは到底言えない。
このように考えて、諸道を学べば、いよいよ道理をわきまえることができるようになるのである。
『葉隠』(はがくれ)は、江戸時代中期(1716年ごろ)に書かれたそうである。
まったく、古さを感じさせないというより、そのまま、素直に感じ入る。