言志四録 佐藤一斎
この本のことは知らなかった。
それもそのはずで、訳注者の川上氏が述べておられるように、絶版となったため、世に知られていなかったようである。
1813年、江戸時代のものである。
このことを知らなかったら、戦中・戦後くらいに書かれたものだと思ったかもしれない。
いつの時代においても、共鳴できる価値観は存在する。
そんな、1冊であった。4巻まであるようだが、それは今は読まない。
存在を知っただけで良しとする。
少女パレアナ エレナ・ポーター
1913年の作品。
まだまだ、不朽の名作というものが、世の中にはたくさんあるのですね。
ウェブスター辞典には、「パレアナ」という普通名詞がでており、「エレナ・ポーターという作家の有名な作品『パレアナ』から作られた名詞で、喜びを意味する」と書いてあります。
これだから、読書はやめられません。
ヤッさん 原宏一
なんとも、風変わりな、ホームレスの話。
テレビドラマには、もってこいかも。
蔦重の教え 車浮代
タイムスリップの話はよくあるが、この本は他にはない、妙な味を醸し出している。
何故かなあと思ったら、題材は江戸であるが、「教え」は今も共通だから。
実在の人物を扱う小説は、著者の考えを、随所に散りばめられることもあり、読みごたえがある。
主人公にそれを言わしめているのだが、それは自分の考えであり、それに共感できるときに、歴史を感じ、変わらないものをその当時の人たちと共有できる。
変わらないもの、大事にしたい。
葉隠入門 三島由紀夫
「武士道といふは、死ぬ事と見付けたり」
あまりに、有名な言葉だが、字面だけでとらえていた。
矛盾するように感じるところ、ハウツーみたいに思えるところも、おもしろい。
興味関心が二方面に向くのが悪いのである。 ひたすら武士道に励むことだけで、ほかの事を求めてはいけない。 要するに、<道>の字は同じことなのである。
ではあるが、儒学や仏法を知った上で見た時、武士道などというのは、道理にかなったものなどとは到底言えない。
このように考えて、諸道を学べば、いよいよ道理をわきまえることができるようになるのである。
『葉隠』(はがくれ)は、江戸時代中期(1716年ごろ)に書かれたそうである。
まったく、古さを感じさせないというより、そのまま、素直に感じ入る。